『フォードvsフェラーリ』ネタバレと感想

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ル・マン24時間耐久レースで王者フェラーリに勝ちたい男たちの戦いを描いた『フォードvsフェラーリ』は実話を基にした作品です。

アメリカの批評サイト「RottenTomatoes」では支持率9割超えの高評価になっています。

本作は自動車やカーレースに予備知識がなくても、少なくともそれらが嫌いでなければ十分楽しめます。

主演はマット・デイモンとクリスチャン・ベールという2大スターの共演ですが、どちらも抜群の演技を見せてくれます。

またヘンリー・フォード2世役のトレイシー・レッツもいい味出しています。

 

『フォードvsフェラーリ』作品情報

【原題】『Ford v Ferrari』

【監督】ジェームズ・マンゴールド

【出演】
キャロル・シェルビー – マット・デイモン
ケン・マイルズ – クリスチャン・ベール
ヘンリー・フォード2世 – トレイシー・レッツ
リー・アイアコッカ – ジョン・バーンサル
レオ・ビーブ – ジョシュ・ルーカス
モリー・マイルズ – カトリーナ・バルフ
ピーター・マイルズ – ノア・ジュープ

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『フォードvsフェラーリ』のネタバレと感想

フォードとフェラーリの戦いのほかにスーツ組と現場組の対立というわかりやすい構造とシェルビーとマイルズの友情を絡めて話が進んでいきます。

またこの作品の時代が第二次世界大戦が終わってまだ間もない頃であると考えると、連合国(アメリカ)対枢軸国(イタリア)という見方もできます。

そしてフォードやフェラーリといった実際の社名を前面に出して勝った負けたの話にしている演出は、大人の事情を脇に置いたある意味痛快な作品とも言えます。

(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

中間管理職のキャロル・シェルビー

会社上層部からの理不尽な要求と向き合いつつ、現場をまとめていくシェルビーをマットデイモンが演じています。

このような立ち位置にいる場合、自分の保身や出世を願って上層部に媚びを売ると現場組からは総スカンを喰らいますが、シェルビーはもちろん現場の一員としてマシンの完成とレースの勝利を追い求めます。

気難しいマイルズを説得し、難しいプロジェクトを進めていくリーダーですが、そのストレスを爆発させる場面がありました。

レースに出場させられなかったことを謝罪しにマイルズの元を訪れますが、彼から受け入れられずブチ切れ。子供じみたケンカになります。ですが信頼しているマイルズ相手だからこその感情の表れであり、ケンカの後はより一層お互いの絆を深めました。

組織の中で板挟みになって胃を痛めている人たちにとっては共感できる立場の人物です。

孤高の天才ドライバー ケン・マイルズ

狷介で思ったことがすぐに口や態度にでてしまうが、唯一無二の天才ドライバーケン・マイルズをクリスチャン・ベールが鬼気迫る演技で魅せてくれます。

『バイス』では約20キロも増量しチェイニー元副大統領を再現しり『マシニスト』では健康が心配されるくらい激ヤセしたベールですが、本作でも無駄な贅肉を削ぎ落して細身の身体に仕上げてきました。

はじめマイルズはシェルビーからフォードに誘われた時にフェラーリにレースで勝つには200~300年かかると笑って取り合いませんでしたが、テストカーに乗ったとたん彼の本能は抑えられなくなります。彼にはマシンの改良点が手に取るようにわかるのでした。

クライマックスのレース終盤で苦渋の思いでシェルビーがビーブからの指令で「ゆっくり走れ」と、この生粋の天才ドライバーにとっては最も似つかわしくない言葉を掛けます。

バックミラーに1台も写っていないぶっちぎりの独走を心ゆくまで味わった後、マイルズはおもむろにシフトチェンジし、味方のマシンが追いつくのを待ちました。

そのためルールの規定によりマイルズは2位となってしまうのですが、申し訳なさそうなシェルビーに「約束はル・マン走ることで勝利ではない」とどこか満足気な表情。

エンツォ・フェラーリは帽子を脱いで敬意を表しました。

(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

本当の敵はフェラーリではなく会社の上層部

タイトルのとおりフォードとフェラーリの戦いが話の大きな軸になっています。

販売不振をイメージアップで回復させようとフォード社は経営が傾いているフェラーリを買収しようとします。フェラーリは一方でフィアットとも買収交渉が進められており、結局フォードはよい条件を引き出すためのダシに使われます。

侮辱的な言葉を掛けられ交渉が決裂、怒りに燃えるヘンリー・フォード2世はル・マンでフェラーリに勝つためにレーシングマシンの開発を命じます。

レースに勝つためのマシンを開発しようと、理想を追い求める現場スタッフに会社上層部が組織の論理をふりかざしいやがらせをしてくる、実際にこのような環境にいる人間なら容易に感情移入できそうな話です。

シェルビーとマイルズはフェラーリと戦うだけでなく、自社の上層部とも戦っていくことになります。

レオ・ビーブは実際には良い人だった

シェルビーらの現場組と対立するのはジョシュ・ルーカス演じるレオ・ビーブです。観客はこの作品を鑑賞中に彼のことを嫌いになること請け合いです。

ことあるごとに現場の現場の神経を逆なでするように次々と口を出すビーブですが、そもそもル・マン参戦はフォードの売り上げ回復のためのイメージアップが目的なのです。

なので例えばマイルズがフォードのイメージに合わないと判断したら、彼を外そうとするのは当然で、一応筋が通っています。

作中ではかなりイヤなキャラクターで描かれているレオ・ビーブですが、実際は尊敬に値するとても素晴らしい人物だったという証言がいくつもあります。

マイルズのことを良くは思っていなかったことは事実のようですが、ル・マンで3台同時にゴールするよう指示をした際に、マイルズが2位になってしまった結果については後悔していたそうです。

ちなみに制服組の中でもシェルビーの味方になってくれたリー・アイアコッカはのちにフォードの社長にまで昇りつめます。その後、ヘンリー・フォード2世と対立し解雇され、ライバルであるクライスラーの会長に就任します。

経営難のクライスラーを立ち直らせ、アメリカ産業界の英雄と称賛されますが、その一方でイタリア系企業との癒着など必ずしも公明正大な人物ではなかったそうです。この人の人生を映画にしても面白そうです。

まとめ

本作では基本的にレースシーンでもCGは使用されず、セットを組んで撮影されました。クリスチャン・ベールの渾身の演技とも相まって、実写ならではの迫力と臨場感が溢れています。

マット・デイモンも素晴らしいのですが、とりわけベールの演技は光っています。特に彼がハンドルを握っているシーンは画面から緊迫感がヒシヒシと伝わってくるようでした。

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