『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』本間立平著

雪降らせてよ

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はじめタイトルを見てクライアントの理不尽で無茶な要望を、どう対応するかみたいな内容かと手に取ってパラパラ見たところ、物をどうやって売るかというメソッドを紹介した本でした。

この本では物が売れない時代にいかにして売るか、大手広告代理店でマーケティングに従事してきた著者が様々なシーンを例に上げ、買い手の購買心理に働きかけていく方法を紹介しています。

難しいとされている「相手に行動を起こさせる」方法は様々なビジネスシーンで応用できそうです。

本書ではシチュエーションを設定したり、具体的な企業名を出して買わせるメソッドを紹介しており頭の中でイメージしやすく理解しやすい内容となっています。また各章の間にあるコラムも興味深い話が紹介されています。

書籍情報

【書籍名】『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』

【著者名】本間立平

【出版社】大和書房

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著者について

著者の本間立平さんは㈱電通テックに勤務。購買行動から商品の売り方を考えていく「ショッパーマーケティング」という仕事に取り組まれています。また電通グループの購買起点型マーケティングを追求する「電通S.P.A.T.チーム」の創設メンバーでもあります。

共著書に『買いたい空気のつくり方』があります。

消費者は広告がキライ

「昔は、テレビCMをドーン、売場にバーンで、確実に売れた。今はダメ」
~中略~
1 メーカーと、広告会社は、大量のテレビCMを打つことを計画する。
2 メーカーの営業は流通に対して、次ように商談をする。
「今度の商品、テレビCMをデカく打ちます!これは売れますよ!」
3 流通は、その言葉を信じ、大量に商品を仕入れ、お店の一番いい場所に積み上げる。
7ページより引用

以前は上記のような流れがプロモーションの正攻法と言われてきましたが、情報が溢れかつ多様化した現代では通用しなくなってきました。CMを大量に流し、売場に商品を山積みにしても消費者は見向きもしてくれなくなったのです。

そこで様々な手法を用いて消費者に買いた空気を作り出すことが売り手側には重要となってきます。そこにはネットの普及により、これまでになかった買い方の出現も考慮しなければなりません。SNSの普及により消費者の間で共有される情報は増加しましたが、反対に売り手が発信する情報は存在感も信用性も低下していると著者は言います。いわゆる消費者が昔にくらべて賢くなったということでしょうか。

広告代理店に勤務する著者は買わせるプロとして心理学、脳科学、経済行動学などを用いた調査、分析、研究により物が売れる場合のパターンを導きだします。

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買い手の心理を考える

買い手は一番、警戒していること。それは、商品を「押し売り」され、買わされてしまうことです。ですから、「今買わないと、次はいつ入荷するかわかりません」「セールは今日が最終日です」といった「売り文句」は、嫌われるのです。
85ページより引用

確かに押し付けがましい店員の言葉は逆効果でしかありません。物を売るには買い手の心理を考えていく必要があります。人はいままでに学んできた知識と経験から行動を選択しようとするので、その心理をうまく利用すると購買につなげることができます。

本書では各章で買いたい空気をつくるためのメソッドを「飢餓の創出」、「あの人」、「ネタ」、「恐怖」などのキーワードをもとに解説しています。

本書を読み進めていくと、人はどのような理由でモノやコトの価値を見出すのかがわかります。

売り手と買い手がGood Momentであるには

著者は買い物は売り手と買い手が「Good Moment(素敵な瞬間)」であるべきと提唱します。

そのためには売る側の一方的な都合ではなく買い手の立場、要望に沿ったメソッドが求められます。

また終章では情報過多である現代の買い物における面倒くささを説いており、情報が少なかった昔のほうがむしろストレスが少なかったとしています。確かに調べれば調べるほどもっと安く手に入れる方法が見つかったり、SNSなどの不特定多数の無責任な意見が耳に入ってきたりすることは結構なストレスになります。

本書を読んで感じたのは、売り手側にいる著者は冷ややかに、更に言うと多少自虐的に自らが属している広告(物を買わせる)の世界を俯瞰しているようです。

そして物を売ることがかっこ悪くなってしまったこれからの時代は、広告の世界やクリエイターと呼ばれる人々は社会問題の提起や解決といった脱広告志向になっていくそうです。

最後に著者は買わせるメソッドの時代は終わり、好かれるメソッドの時代になるという言葉で締めくくっています。

まとめ

買わせるメソッドも好かれるメソッドも買い手の心理に働きかけることには変わりはありません。これからの時代は売り手はその手法をどこまで善意に基づいて行えるかが問われるのではと思いました。

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