山手線の30番目の駅として開業した高輪ゲートウェイ駅。2020年3月4日に暫定開業しました。すべて完成するのは2024年とのこと。山手線で2番目に新しい駅である西日暮里駅の開業から約半世紀ぶりの新駅となります。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出される直前に所用で訪れる機会がありましたのでご紹介します。
高輪ゲートウェイ駅のネーミングについて
駅名が発表されたとたんにゲートウェイって何だとか散々色々と言われましたね。駅名は公募で決定されたのですが、一番多かったのが「高輪」。次いで「芝浦」、「芝浜」ほかにも「新品川」などもあったそうで、「高輪ゲートウェイ」は100位以下だったようです。
公募の意味があったようには思えませんが、ゲートウェイという名前はかつて付近にあった高輪大木戸に由来するそうです。高輪大木戸は東海道における江戸の玄関口で、ここで人々の往来を管理して江戸を守る役割を担っていました。
もちろん今では外から守るというのではなく受け入れるというニュアンスになりましたが、この周辺を日本と世界を繋げる人と文化の交流地にしたいという再開発のコンセプトが、JR東日本が多くの批判にも拘わらずゲートウェイというネーミングにこだわった理由だそうです。
高輪ゲートウェイ駅ができた理由
当初新駅開業が発表されたのは2014年6月でした。その際によく耳にしたのが品川~田町間は2.2㎞と山手線で最長の距離があるからというものですが、品川と田町の間には特に繁華街や重要拠点なはなく、これだけでは理由になりません。
あの場所に駅を作っても利用者が少なく、却って停車駅ができたため所要時間も増えメリットがないと思っていたのですが私の思慮不足でした。
元々高輪ゲートウェイ駅の場所は大規模な車両基地でした。その車両基地を縮小したり郊外へ移したりした結果、活用できる土地が生まれました。
現在でも駅の東側に車両基地は存在します。ですが直通運転や乗り入れを導入した結果、多くの車両が郊外の基地を使用できるようになりました。
近い将来に品川はリニア中央新幹線の拠点となる予定で、このあたりは「グローバルゲートウェイ品川」と名付けられた大規模な再開発が行われます。賛成できるかどうかは別として新駅の名前に「ゲートウェイ」をどうしても入れたかったことがわかります。
「グローバルゲートウェイ品川」では国際水準を満たすホテルや住居施設、オフィス、商業施設が作られるそうで、ほかにも文化の発信や創造の場としての拠点を目指すとのことです。
高輪ゲートウェイ駅の開業は品川駅周辺までを含めた再開発の一端として位置づけられます。品川を始発駅としたリニア中央新幹線の開業や羽田空港へアクセスする際の玄関口としてこのエリアを活用しようとのことです。
東京五輪の開催に合わせて開業云々との報道もありましたが、駅の開業はともかく再開発は間に合いませんし、オリンピックは副次的な理由にしかすぎません。
高輪ゲートウェイ駅の紹介
高輪ゲートウェイ駅の乗り入れ路線は山手線と京浜東北線。共に隣の駅は田町駅と品川駅です。
・京浜東北線
乗り換えは泉岳寺駅が300mほどのところにあります。直通の通路などは今のところないので地上を経由して移動するので、雨の日は不便そうです。
泉岳寺駅は都営浅草線や京急線が乗り入れていますが、京急線は品川駅にも乗り入れていますし、浅草線は田町(浅草線の三田駅と直結)しているので、乗り換えという視点から見るとあまりメリットはなさそうです。

駅舎は隈研吾氏の設計で、屋根は折り紙をモチーフとしたデザイン。

駅前はイベントスペース。ここを上手に活用しないと高輪ゲートウェイの駅周辺は侘しくなってしまいます。

駅前から田町方面の風景。再開発のことを考えると現時点で駅周辺が変に栄えていないほうが好都合かもしれません。

散々突っ込まれた明朝体の駅名の案内板。カタカナの駅名に明朝体はアンバンスという意見もありましたが、駅舎が和テイストなので違和感はさほどありません。
高輪ゲートウェイ駅の改札口は今のところ高輪方面(西側)の1か所のみです。当分は利用客はさほど多くなさそうなので、改札口が1か所でも混雑の心配はなさそうですが、再開発が進んでいくと増えるのでしょうか。

タッチする部分が斜めになった改札機。車いすの人でも使いやすいようにデザインされたとか。

記念に入場券を購入しました。


内部は開放的な感じで太陽光が十分に入ってくる構造。

ホームに電車が入ってきたところ。

駅内にはスターバックス。

無人コンビニもあります。訪問したときは営業していませんでした。

警備ロボット。駅構内を動き回って画像を撮影。

案内ロボット駅員。

モニター画面が反射してしまい見にくいのですがai駅員。

季節の移ろいをモチーフとしたオブジェ。

奥にトイレがあります。

ロッカーと授乳室もあります。

ホームの案内板。

もちろんホームドアが設置されています。床は木目調。
JR東日本の目論見
高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発は2024年度の完成を目指しているとのこと。更にリニア中央新幹線の開業が予定されている品川駅まで再開発エリアを広げるようです。
上にも書きましたがゲートウェイの名前にこだわったのは東京の玄関口という意味が込められています。リニア中央新幹線はJR東海で羽田空港へのアクセスは京急であり、それぞれJR東日本とは別会社なのですが、敢えてシンボリックなネーミングを採用したところにJR東日本の将来を見据えたビジョンが伺えます。