美術館女子炎上

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美術館連絡協議会(美連協)と読売新聞社がタッグを組んだ企画「美術館女子」がSNS上で話題になりました。しかもネガティブなニュアンスで。

美術館女子が非難されている理由は美術館をインスタ「映え」の対象に扱っていること。

もうひとつは「〇〇女子」「○○ガール」のような安易なカテゴライズはいい加減にしろというもの。後者のジェンダー問題はいくらでも揉めることができるのでやっかいです。

公式サイトを拝見しましたが、そんなにボコボコに言われる必要があるのかといった内容でした。畳の上に靴を履いたまま足を広げてポーズをとったどこぞの女優のほうがよっぽどマズイんじゃないかと思いましたが。

美術館女子とは

読売新聞で「月刊チーム8」を連載中のAKB48チーム8のメンバーが各地の美術館を訪れ、写真を通じて、アートの力を発信していく。
公式サイトより

この企画の目的はとにかく美術館を訪れる人を少しでも増やすことでしょう。コロナで世の中が自粛ムードが続く中、じっと待っているのではなく何か手を打とうとして出したアイデアのひとつだと思います。

美術館女子の公式サイトを見ればわかりますけど、美術に慣れ親しんでいるガチな人に向けたPRではないです。いままでほとんど美術館に行ったことがない人向けの内容です。

でもって世間の注目を集めるにはAKBはてっとり早い。しかも昨今巷に溢れ気味の「~女子」や「~ガール」に乗っかろうとした。

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「映え」扱いとジェンダー問題

普段から美術館に行く人や美術を志しているような人ばかりが美術館女子の企画に怒っているのならわかるのですが、そうではありません。

冒頭にも書きましたが批判されているのは、PRの内容がAKBのメンバーが主で美術が従になってしまっているいびつな関係性と、「○○女子」や「○○ガール」といった安易なカテゴライズ

前者は作品を鑑賞するはずが、それらを背景とした「映え」の材料として扱っており本末転倒ではないのかといった主張です。

ですが新たな美術館ファンを獲得しようとした意図ならば、あながち的外れでもないような気がするのですが。

美術館に興味を持ってもらう取っ掛かりとしては、このへんまでレベル(?)を下げても良いと思います。だってガチの人向けではないのだから。

なぜガチの向けではないかと判断できるのかは、女性アイドルの起用からも明らかです。

それはそれで女性アイドルに失礼とも思いますが、「美術館」+「AKB48」ときて作品を背景にモデルとなっているメンバーを明らかに主として扱っている内容を見せられれば、自ずとわかりそうなものです。

とは言ってもどう受け取るのかは人それぞれなので、反対意見があるのは否定しません。

後者のネーミングについては、すでに何年も前からあり今更感が強いです。すぐに思いつくだけでも「森ガール」「山ガール」「歴女」「腐女子」「リケジョ」「鉄子」などなど。

調べれば簡単にもっとあげられそうです。「草食男子」や「佐川男子」など男性版もありますね。

このような「またかよ」感ではなく、性別で区別することに嫌悪感を持つといった意見はフェミニストではなくても広くに世間に浸透してきました。

女性は内面を軽視し外見ばかりに関心があるといった男性側からの偏見が「○○女子」や「○○ガール」などのネーミングに込められており、そのような見解がより非難の度合いを激しくさせています。確かにそういったニュアンスはありますよね。

「○○女子」(男子も)は自称するのは勝手ですが、他人特に異性からレッテル貼りをされることには多くの人が嫌悪感を持ちます

はっきりいってジェンダー問題については、たとえその専門家や学者でもなにかしらのバイアスは掛かっているものです。

下記は美術館女子について美術界におけるジェンダー問題の専門家の言葉です。

企画者側のおじさん目線から考えられているため、残念ながらアウトな部分しかありません。
美術手帖より

この言葉をそのまま言ったのだとしたら、また前後の文脈が不明なので切り取りになる可能性もありますが、おじさんは何も企画してはいけないのかとお伺いを立てたくなります。

更にこんなことも。

「アイドルの可愛さ、魅力が中心で、美術館やアートはただの背景に過ぎない。そこには、美術館という空間やそこにある美術作品との出会いによる新たな発見や、美術を観る者の感動や思索が、まったく伝わってきません。『アートの力』の発信が視覚化されていないのです」
美術手帖より

この企画が美術の初心者向けの内容なので当たり前です。「『アートの力』の発信」は謳い文句であり、厳しく突っ込まれても困るでしょう。

上の発言をした専門家のことではありませんが、一般的に「女性目線」や「女性ならでは」といった視点についてはまったく逆のことが語られることが多いです。

但しそれを男性が語るとたちまち非難の的になります。なぜなら女性から見たらピントのズレた的外れな内容になっているから。

まとめ

今回の美術館女子を企画した人もバッシングの度合いに戸惑っているのではないでしょうか。

どんな分野でも裾野を広げようとすると、それまでその世界にいた愛好者たち特にある程度のポジションにいる人たちが嫌悪や嘲笑を示すこと起こりがちなことです。

昨今のSNSの世界では一旦火が付くと批判の理由を積極的に探し出して炎上騒ぎに参加する人が後を絶ちません。

更にそこに何らかの正義感が付随すると論調の激しさが加速します。

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