最近耳にするようになってきたリレーアタックは新手の車両盗難の手口です。利便性と共に安全性も優れているはずのスマートキーですが、その仕組みを巧みに利用していとも簡単に車を盗み出す手法です。
もともとは海外で発生したリレーアタックですが、スマートキーの普及と共に日本でも増加傾向にあり新たな犯罪形態として注目されています。
そんなリレーアタックに対して現在できる対策はあるのでしょうか?リレーアタックの手口や盗難に遭いやすい車種もご紹介します。
リレーアタックとは
リレーアタックはスマートキーから放出されている微弱な電波を利用して、開錠したりエンジンを始動させたりします。
通常スマートキーから出る電波の有効範囲は70~100cmほどですが、微弱な電波を増幅させる特殊な機器を使って、その車の持ち主(使用者)が近くにいるのと同じ状況を作り出します。
なので車を盗もうとしている犯人は基本的に2~3人のグループで行動します。

手口としては犯行グループの一人がスマートキーの電波をキャッチする機材を持って、運転手やキーが置いてある自宅に近づきます。
受信した電波を増幅させて車の近くにいる仲間に送信。車はスマートキーが近くにあると誤認して開錠、エンジンが始動できる状態になります。なのでたとえスマートキーが家の中にある状態でも車を盗まれてしまうことになります。

電波をキャッチしてエンジンが始動されるまで約10秒ほどしか掛かりません。
不正な電波だと盗難防止システムが作動しますが、電波はスマートキーから発生したものなので、盗難防止システムは作動しません。
そんなリレーアタックに使われる特殊な機材ですが、主に中国で生産されており、数十ドルで入手可能とも言われています。
自動車盗難件数は減少傾向
リレーアタックを含めた自動車の盗難件数は年々減ってきているそうです。
■自動車盗難認知件数の年別推移
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出典:自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム
正確な情報は不明ですが、リレーアタックによる被害が確認され始めたのは2016年ごろからなので比較的新しい手口といえます。
上の表を見ると車両盗難の多くがキーなし、つまり施錠された状態の車が盗まれている事実を表しています。年々減少傾向にありますが、リレーアタックの対策如何によっては推移に変化が表れる可能性があります。

盗まれやすい車種
盗難台数の多いメーカーはトヨタが占めていました。
■車種別の盗難台数(2018年)
メーカー | 車種 | 盗難台数 |
トヨタ | プリウス | 912 |
トヨタ | ハイエース | 562 |
トヨタ | ランドクルーザー | 435 |
いすゞ | エルフ | 249 |
トヨタ | クラウン | 230 |
参考:自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム
※上記は2018年の統計ですが、2019年にはレクサスがトップになっています。
スマートキーの呼び名いろいろ
スマートキーはメーカーによって呼び名が異なっています。下に代表的なものを列記します。
・トヨタ スマートエントリー&スタートシステム
・日産 インテリジェントキーシステム
・マツダ アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム
・ホンダ Hondaスマートキー・スマートカードキーシステム
・三菱 キーレスオペレーションシステム
・ダイハツ キーフリーシステム
・スズキ キーレススタートシステム
・スバル キーレスアクセスシステム
・いすゞ パッシブエントリー&スタートシステム
リレーアタックの対策法
リレーアタックを防ぐにはスマートキーの電波を遮断する、物理的にロックをかけるなどの方法があります。例え車が自宅の敷地内にあってもリレーアタックの対策は怠るべきではありません。
アルミ缶に入れる
アルミやスチールなどの缶にスマートキーを入れて電波を遮断すれば安全性はかなり高くなります。お金もほとんど掛かりません。
但し外出先で車から降りたときもスマートキーを缶に入れて持ち歩く必要があります。バッグなど持っていればその中に入れればよいのですが、手ぶらのときはちょっと不便です。
キーケース・電波遮断ポーチに入れる
リレーアタック防止専用のポーチやキーケースに入れて電波を遮断します。
Amazonでも気軽に手に入ります。
スマートキーの節電モードを使用する
トヨタやスバルなどメーカーによってはスマートキー自体に節電モード機能がついているものもあります。
デメリットとしてこの方法は安全と引き換えにスマートキーの利便性を低下させてしまいます。
物理的にロックしてしまう
ハンドルやタイヤをロックしてしまう方法です。普段自動車を使用する頻度が少ない人には安心できます。ですが、外出先でいちいち取り付けたり、取り外したりするのはかなり面倒です。
リレーアタック防止リモコン
こちらはコムエンタープライズという会社が発明した、車側に取り付けて電波を操作する装置です。スマートキーの他に同じようなサイズの専用のリモコンを持つ必要がありますが、このリモコンのスイッチひとつで電波をコントロールできます。
費用も1万円以内となっています。
専用リモコンのスイッチを押すと車両側に取り付けた受信ユニットが作動しなくなります。この状態だとスマートキーからの電波は発信されていても、車両が反応することはありません。
缶に入れるのは持ち運びに不便ですし、電波遮断ポーチは劣化します。節電モードは超微弱電波を受信できる高性能な機材を使用されるとかなり不安です。ロックするのは手間がかかりお手軽とは言えません。その点かなりオススメの方法です。