最近赤チンが2020年には製造中止になり姿を消すというニュースが流れました。
子どものころは遊んでいると、よく転んで擦り傷をつくったものです。そんなときに傷口に塗ったのが赤チンでした。久しぶりにその名前を聞いたと思ったら製造が中止になるとのことです。懐かしく思ったのと同時に、まだ生産していたのがちょっと驚きでした。
赤チンの正式名称は「マーキュロクロム液」
赤チンは有機水銀化合物であるメルブロミンと呼ばれるマーキュロクロム液を精製水に溶かしたもので、皮膚にできた傷の消毒、殺菌に使われる薬品として戦前から日本でも使われ始めました。
メルブロミンの殺菌作用は20世紀に入ってからアメリカ・メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス病院のヒュー・ヤング医師により発見されました。メルブロミンはその価格の安さのために発展途上国ではいまだに愛用されているそうです。
結構古い歴史があるのですね。ちなみに他に昔からある有名な薬としては正露丸、仁丹、龍角散、改源、宇津救命丸などがあります。
赤チンは赤いヨードチンキを略した呼び名ですが、同じく消毒薬でヨーチンと呼ばれたヨードチンキとは成分が異なりまったくの別物です。それどころかヨウ化水銀が発生するので怪我の治療の際この二つを併用してはいけないそうです。
2020年に製造中止の予定
国内では40年以上前から原料生産はされていません。戦後の高度成長期に公害が大きな社会問題となり、製造過程で有機水銀化合物が排出されることが原因で原料生産が中止されました。
その後、海外で生産された原料を輸入して製造されています。どうやら赤チンを製造する際は水銀は出ないのですが原料をつくる際に水銀を含んだ廃液が出てしまうようです。
現在日本では三栄製薬のみが製造していますが、2020年をもって中止する予定です。これにより日本国内での赤チン製造メーカーはすべてなくなります。海外からも原料が手に入らなくなるとなれば仕方がないことではあるかもしれませんが、懐かしい昭和の思い出がまたひとつ姿を消すことになります。
赤チンはかつての常備薬
赤チンはかつてはどこの家庭でもあったし、学校の保健室でも常備されていましたよね。
我が家では外で転んで擦り傷などができたら、まずオキシドールで消毒してそのあと赤チンを塗っていました。オキシドールは傷口にとても沁みて痛みを伴うものだったのですが、赤チンはまったく沁みませんでした。
昔は膝小僧に赤チンを塗っている小学生くらいの男の子をよく見かけたものでしたが、最近は表で遊ぶことも昔より少なくなったせいもあるのか、ほとんど見かけることはありません。赤チンを塗っているこどもなどむしろかなりめずらしいのではないでしょうか。
塗ったところが真っ赤になりインパクトもそれなりですし洋服についてしまうとなかなか落ちにくいこともあり、自分が子どもの頃に塗った経験のない親からも敬遠されるのかもしれません。
消えゆく赤チン
透明な消毒液の台頭により真っ赤な赤チンは一般家庭から徐々に姿を消していきました。現在ではマキロンがその主流を占めています。今でも手に入れようと思えば購入することはできるようですが、ドラッグストアなどでも赤チンを買うのはほとんどが高齢者のようです。
Amazonでも購入可能です。